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メンクイ

2008年05月21日

 登場人物

 チカ/部屋の住人。
 リサ/チカの友人。居候。


 照明、カットイン。

 メゾン山田・101号室。2LDK。
 上手が玄関口。そこには山積みになったA4サイズの封筒。
 床で寝ているチカ。チカの横にはハンドバックが置いてある。
 チカの寝顔を見ながら身体だけはハンドバックの方向に向いているリサ。

 リサ
「チカちゃーん……、チカちゃーん……、寝てるのー? チカちゃーん、寝てるなら『寝てます』って言ってくださーい、ねェー、チカちゃーん……」

 リサの呼びかけに対し、ピクリとも動かないチカ。

 リサ
「寝てるー? 寝てるねー……」

 リサ、チカの横に置いてあるハンドバックに手を延ばし、中からサイフを抜き取る。

 チカ
「(突然、起き上がり)コラッ!」

 リサ
「うぎゃあああああああああッッッッッ!」

 尻餅ついて放心状態のリサの手からサイフを取り返すチカ。

 チカ
「……呆れた。ルームメイトのサイフに手をかけるなんてさ」

 リサ
「借りようとしただけだって!」

 チカ
「無断で?」

 リサ
「断ろうと思ったケド、眠っていたからさ……」

 チカ
「だから勝手に取ろうとしたの?」

 リサ
「……ごめん」

 チカ
「まったく……、昨日もらった給料は?」

 リサ
「使った」

 チカ
「はぁー? 使ったって、アンタ……、2日で?」

 リサ
「ウン」

 チカ
「何に?」

 リサ
「…………募金」

 チカ
「ホストね」

 リサ
「(舌打ち)わかってるなら聞かないで」

 チカ
「アンタいい加減にしなさいよ。給料もらって即ホストに全部つぎ込むなんてさ、バカ女の典型じゃん」

 リサ
「バカ女って言うな」

 チカ
「バカ女じゃん。挙げ句に人の財布から、金、盗もうとしてさ……」

 リサ
「だーかーら! 借りようと思っただけだって!」

 チカ
「貸さないよ」

 リサ
「お願いー、チカちゃーん」

 チカ
「ダメ」

 リサ
「イジワルしないでー」

 チカ
「はぁー? イジワル? アンタ、イジワルって言った?(リサに詰め寄り)この前も人の金、勝手に取ったクセに、よく、そんなコト言えるね」

 リサ
「この前? え? 何言ってんの? そんなの知らないよ」

 チカ
「(リサの瞳を一直に見つめながら)知らない?」

 リサ
「知らない」

 チカ
「私の目を見て言える?」

 リサ
「(揺るぎない視線でチカを見つめながら)知らない!」

 チカ
「……押入れ」

 リサ
「(体がビクンと反応を示す)」

 チカ
「何、今の反応」

 リサ
「なななな、なんでも、ななな、ない」

 チカ
「押入れに隠していた貯金箱、取ったでしょ?」

 リサ
「(無言で首を横に振る)」

 チカ
「『30万円貯まる貯金箱』、……コツコツと500円貯めてたのになぁ……」

 リサ
「(リサの顔を見ずに)知らない、知らない」

 チカ
「もう一度、私の目を見て言える?」

 リサ
「言えるよ。(チカに視線を合わす。少し虚ろ)」

 チカ
「……取った?」

 リサ
「…………」

 チカ
「……取ったね」

 リサ
「(チカから目線を逸らし)知らない」

 チカ
「どこ向いて言ってんだよ!」

 リサ
「(両耳を塞ぎながら大声で)知らない! 知らない! 知らない! 知らない!」

 チカ
「うーるーさーい!(リサを蹴っ飛ばし)……まったく、勝手に貯金箱から30万を盗っておいて、よくイジワルとか言えるもんだよ」

 リサ
「8万500円だもん! 30万もなかったし!」

 チカ
「ほぉーう……」

 リサ
「(しまった、という感じで両手を口に添える)」

 チカ
「(リサに詰め寄り)ほぉーう……、(顔を近づけて)ほぉーう……」

 リサ
「(土下座して)取りました、スミマセン。今度の給料で返します」

 チカ
「分かればよろし」

 リサ
「(顔を上げ)……ってコトで、お金貸して」

 チカ
「はぁー?」

 リサ
「お願い」

 チカ
「アンタねぇ……、バカ? つーか、バカ?」

 リサ
「お願い、お願い、ミツル君に今日も店に来るって約束したのー!」

 チカ
「……それが今ハマッてるホストの名前?」

 リサ
「(うっとりとした顔で)そう、ミツル君。素敵でしょ?」

 チカ
「……何が?」

 リサ
「名前」

 チカ
「(呆れながら)……どこにでもあるような名前じゃん」

 リサ
「違うの! 漢字がね、カッコイイの! 光ると書いてミツル! もう名前の通り光ってんの、ピカピカピカーッてね」

 チカ
「そりゃ妖怪だ」

 リサ
「オーラよ! オーラ! 全身から神々しいオーラを発しているの」

 チカ
「新興宗教開けるね」

 リサ
「(聞いてない)でもね、でもね、目はね、……深いの」

 チカ
「あらら……、マリワナ海溝ぐらい?」

 リサ
「(聞いてない)見つめられるとさ……、吸い込まれちゃいそうになる……」

 チカ
「掃除機みたい」

 リサ
「(聞いてない)ああ……、もう……、素敵……」

 チカ
「どうでもいいけど、あんまりのめり込まないようにしないと取れるだけ搾られて、金がなくなったらサヨナラ、ってコトになっちゃうよ」

 リサ
「そんなコトない!」

 チカ
「そんなコトあるの。ホストって基本、女を金ヅルとしてしか見てないからね。金の切れ目が縁の切れ目って言うでしょ」

 リサ
「それはホストに対する偏見。ミツル君は、そんな人と違うし」

 チカ
「どうだか。顔のイイってのは信用できないね」

 リサ
「……どうして顔がイイって思うの?」

 チカ
「ん?」

 リサ
「ミツル君のコト、見たことあるの?」

 チカ
「いや、ないけどさ」

 リサ
「じゃあ、どうして?」

 チカ
「君がハマる男なんてカッコイイに決まってるじゃん。だってリサちゃん、面食いだもん。中学の頃はジャニーズ、高校の頃はビジュアル系バンド、分かり易いほど単純」

 リサ
「てへへ……」

 チカ
「てへへ、じゃないの。いい加減、面食い卒業しなって」

 リサ
「あ~、無理」

 チカ
「『あの人はカッコイイから素敵』だとか『アレはブサイクだから死んでよし』だとか、外見だけで人の優劣をつけるなんてさ、子供だよ」

 リサ
「子供でイイも~ん」

 チカ
「見た目がよければ中身は悪くてもイイの?」

 リサ
「見た目が悪くて中身が良い人よりも断然イイね! でもさ、理想は見た目も中身も最高にイイ男!」

 チカ
「……やっぱ子供。理想高すぎ。そんな都合良い男なんて、そうそう居ないって」

 リサ
「ところがどっこい、私はミツル君という理想の男性を見つけたのです!」

 チカ
「どうだか」

 リサ
「何が!」

 チカ
「ホストでしょ?」

 リサ
「ホストだったら何?」

 チカ
「ホストって女性を基本的に金ヅルとしてしか見てないって言うじゃない。金の切れ目が縁の切れ目ってさ」

 リサ
「それはホストに対する偏見ですゥ、ミツル君は私にキチンと言ってくれました」

 チカ
「何を?」

 リサ
「『リサちゃんは、もう僕の中でお客さんではなく、オンリーワンの存在になっちゃったかも』ってさ……、キャーーーーーーーッッッ!(床に倒れ、四肢をジタバタさせる)」

 チカ
「…………(呆れている)」

 リサ
「私はミツル君の中でオンリーワンの存在って! ウフフ……」

 チカ
「オンリーワンの存在ならホストクラブ以外でも逢ってくれるはずじゃん。どうして、わざわざ店に行かないといけないの?」

 リサ
「……だって、ミツル君、お金困ってるみたいだし」

 チカ
「はぁ?」

 リサ
「なんかね、妹が病気で、たくさんのお金が必要みたいなの。それで本当は嫌だったんだけど、ホストで働いて、その給料を治療費にあてているらしいの。出勤前や休みの日とか、そういったプライベートの時間は妹の看病に費やしているみたいで忙しいらしく、今のところ逢えるのがホストクラブだけなの」

 チカ
「……ふーん」

 リサ
「ホントだもん! だから私も我慢してお店でしか逢わないし、それに私が支払った料金がミツル君の給料になって、それが結果的に妹の治療費にあてがわれるんならイイことじゃん。そんで妹がよくなったら尚更ね。そしたら私はミツル君と思う存分プライベートで逢えるんだし、これは、えーと……、投資! そう、輝かしい未来を掴み取るための投資なの!」

 チカ
「まるで自分に言い聞かせているみたいだね……、ホントは納得してないんじゃない?」

 リサ
「してるもん!(チカに見つめられ)してるし!(さらに見つめられて)してるんだってばッ!」

 チカ
「(無言のまま見つめ続けている)」

 リサ
「……チョットは疑ってるけど」

 チカ
「ホラ、そうでしょ?」

 リサ
「でも! 例え、それが嘘だったとしてもミツル君だったら騙されてもイイ! カッコイイ男なら私は何百回騙されてもいいもん!」

 チカ
「重症ね」

 リサ
「だって、そうでしょ? カッコイイって、ある種の才能だよ? 見ているだけで幸せになるし。それだけ価値があるモンなの。やっぱ見た目って大事。結構、大事。いや、かなり大事。いやいや、とても大事。いやいやいや、一番、大事」

 チカ
「……そりゃあ大事だとは思うけどさ、それでも付き合うとなったらね、やっぱり最終的に大事になってくるのは中身だと思うよ」

 リサ
「あー、出た出た、教科書みたいな綺麗事。そういう建前の上に建前を塗りたくったような意見って聞いてるだけで虫唾が走るね。そういうこと言うくせに、チカちゃん、未だ彼氏なんていないじゃん。つーまーり、結局、面食いだろうが、そうでなかろうが、彼氏いなきゃ同じジャン。そんな戯言ばっか垂れていてなお一人身なら、アタシは自分の欲望に素直になって生きるし」

 リサの言葉に黙り込むチカ。『少し言い過ぎたかな?』と思うリサだが、
 そんなリサの思考を裏切るように、突然、「ムフフ」と笑い出すチカ。

 リサ
「むふふ?」

 チカ
「ムフフフフー」

 リサ
「……何、その気持ち悪い含み笑い。とうとう壊れた?」

 チカ
「ねェ、リサちゃーん、だーれーが、彼氏、いないってェ?」

 リサ
「……え?(しばらく固まり)えええええええェェェェェッッッッッ! チカちゃん、かかか彼氏できたのォーッ!」

 チカ
「(勝ち誇ったように)出来たよ」

 リサ
「なんでー?」

 チカ
「いや、何でって……」

 リサ
「そんな素振り、まったくなかったじゃん!」

 チカ
「単に君が鈍感なだけ」

 リサ
「……いやいや、いやいやいやいや! チカちゃん、いつも家いるジャン! いつ彼氏に逢ってるの?」

 チカ
「君が、いつも家に居ないだけでしょ? 私だってデートしてるし」

 リサ
「私が夜中に帰ってきたらスヤスヤ寝てるクセに!」

 チカ
「(笑いながら)どういう意味? 布団でスヤスヤ寝てたらいけないの?」

 リサ
「彼氏と外泊とかしないの?」

 チカ
「まだ付き合って1ヶ月チョイだからね。プラトニックなの」

 リサ
「はぁー? プラトニック? そもそもチカちゃん、その彼氏と、いつ、どこで、どんな風に知り合ったの?」

 チカ
「先月、高校の同窓会に行ったの覚えている?」

 リサ
「ウン」

 チカ
「そこでさ、昔、仲良かった男の子と再開しちゃってさ、それで意気投合して……」

 リサ
「うわー、そのパターン?」

 チカ
「そのパターン」

 リサ
「ねー、彼氏さ、カッコイイ?」

 チカ
「また顔?」

 チカ
「重要っしょ! 写真とかないの?」

 チカ
「写メならあるけど(テーブル上の携帯電話を指差す)」

 リサ
「(素早く携帯電話を取って)どこに入ってる?」

 チカ
「アンタ人の携帯、勝手にイジくんのね。……データフォルダの一番最初に記録されてると思うけど」

 リサ
「んと、これかな?(ボタンを押して画像を開く)うわぁあぁあぁあぁッッッッ!」

 チカ
「(彼氏を自慢できてチョット嬉しそうな表情)」

 リサ
「ブッッサイクゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」

 チカ
「(思わずコケそうになる)」

 リサ
「うわー、何コレ? 超ブサイクなんですけど? というか人間? ありえーん、神様の悪ふざけ? 酷ェーッ、こりゃ、酷ェーッ!」

 チカ
「あ、アンタね……」

 リサ
「チカちゃん、マジ? はっきりいって、美意識、疑っちゃう……」

 チカ
「あのね、何度も言うけど人間は見た目じゃないの」

 リサ
「チョットは見た目もこだわった方がいいって!」

 チカ
「私のことはどうでもいいの!」

 チカ、立ち上がり、玄関口付近に山積みされている封筒を手に取り、
 リサの目の前に突き出す。

 チカ
「お母さんからお見合い写真届いてるんでしょ?」

 リサ
「(興味なさそうに)ああ、あれは別にいい」

 チカ
「よくないでしょー、毎週毎週、送られてきてるのに封も解かないで」

 リサ
「だって、お見合いする気、ゼロだし」

 チカ
「いい加減、実家に帰って親の進める縁談でも受けなって」

 リサ
「ミツルくんがいます」

 チカ
「写真だけでも見てみたら?」

 リサ
「ミツルくん以上のイケメンなんていません」

 チカ
「いるかもよー」

 リサ
「そんなイケメンは、お見合いなんてしません。お見合いは異性に相手されない売れ残りのブサイクが行うものです」

 チカ
「うわぁー、偏見バリバリね。とりあえず見るだけ見てみなさいって」

 チカの強い口調に、渋々、封筒を受け取り、中身を確認してゆくリサ。
 
 リサ
「(写真を次々と見ながら)あー、やっぱ、ダメだぁ。何より顔の作りがダメ。こっちは……、ぎゃーッ、何コイツ、面白い顔している上に着物きてんじゃん! オマエ、バカボンかよ。こっちは……、ウゲェーッ、ハンマーで何度も叩いてグチャグチャにした後に硫酸かけたような面、これじゃ結婚できねーワケだよ。ウケケ。で、最後は……」

 リサ、最後の見合い写真を開き、固まる。

 チカ
「どうしたの?」

 リサ
「いいいいいいいいいい」

 チカ
「い?」

 リサ
「イケメン!(立ち上がり、方々を駆け回りながら)スゴーイ! この人、超イケメン! むちゃくちゃカッコイイ!(チカに視線を向け)見たい?」

 チカ
「……別に」

 チカ
「あ、そう。つーか、すごい! ヤバイ! ウキャー! スゲー掘り出しモンじゃん! ヤバイ、ヤバイ、興奮して意識が遠のきそう!(倒れる)」

 チカ
「リサちゃん!」

 チカ、倒れたリサに駆け寄り、身体を揺するがリサはピクリともしない。

 チカ「……まさか本気で失神するとは」

 しばらく倒れているリサを眺めていたチカ、
 次第に嫌らしい表情をにじませながら、
 リサが握っているお見合い写真を取ろうと、ゆっくり手を延ばす。
 チカの指先が写真に触れるか触れないかの瞬間、リサ、突然、起き上がり、

 リサ
「やっぱり興味あるんじゃん!」

 チカ
「うわあああああッ! びっくりしたー!」

 リサ
「カッコイイ男に興味ないっていうクセに、嘘つき!」

 チカ
「違うよ! 全ッッ然、興味ない!」

 リサ
「今、お見合い写真、こっそり抜き取ろうとしたじゃん!」

 チカ
「それは……、片付けようと思ったの!」

 リサ
「まわりにブサイク達が写った写真があるのに?」

 チカ
「最初にそれから片付けようと思ったの!」

 リサ
「見たかったんでしょ?」

 チカ
「いいえ、全然、ビジュアル系も、ジャニーズも、ホストも、まったく興味もありません!」

 リサ
「ふーん……、ビジュアル系も、ジャニーズも、ホストも、まったく興味ないんだぁ……」

 チカ
「な、なに? その不適な笑み」

 リサ
「つーかさ、この前、押入れの貯金箱、拝借する時に面白いモン見つけてね……」

 チカ
「(全身が強張る)」

 リサ
「……あんまり面白いからコッソリ抜き取ってベットの下に移動しておいたんだよね」

 チカ
「!」

 チカが止める間もなく速攻でベットに駆け寄り、
 その下から1枚のCDを取り出すリサ。それをチカの目の前に突き出し、

 リサ
「このCDなーんだ?」

 チカ
「…………」

 リサ
「これカルチャー・クラブでしょ? 元祖・ビジュアル系バンドの」

 チカ
「ちちち、違うの。えーと、ホラ、そのグループの『カーマはきまぐれ』って曲のサビと、昔、小室哲也がダウンタウンの浜ちゃんとユニット組んで出した『wow wow tonight』って曲のサビが似てるな~なんて急に思ってね、私の考察が間違ってないかどうか検証するために資料として買ってきたの!」

 リサ
「~♪ カーマ、カーマ、カマ……(歌う)」

 チカ
「~♪ ヘーイ、ヘーイ、ヘイ……(歌う)」

 リサ
「わ、ホント、一緒だ!」

 チカ
「ね!」

 リサ
「……ッて、そんなんじゃあ誤魔化されない、つーの!(もう一度、ベットの下をゴソゴソして)じゃあ、この『ジャニーズおっかけマップ』って雑誌は?」

 チカ
「ああッ!」

 リサ
「どう説明してくれんの?」

 チカ
「えーと、えーと……」

 リサ
「(ベット下をゴソゴソして)それに、この『日本全国イケメンホスト100』って雑誌! これは?」

 チカ
「あうッ!」

 リサ
「『ジュノン・スーパーボーイ』の切り抜き記事!」

 チカ
「あうッ! あうッ! あうッ! あうッ!」

 リサ
「納得いく説明してくれますぅ?」

 チカ
「あぅ、あぅ、あぅ……」

 リサ
「さ、どうぞ!」

 チカ、床に倒れる。

 チカ
「……わかったヨ、認める。認めるさ。アタシも顔のイイ男は好き。うんん、好き、じゃない。愛してる。超愛してる。超々愛してる! 今も昔も変わらず、ずっーと」

 リサ
「やっと認めたか、偽善者め!」

 チカ
「(起き上がり、土下座)ごめんなさい!」

 リサ
「よろしい。(チカの隣に腰掛け)ねェ、ねェ、で、チカはどんな男が好き?」

 チカ
「え? アタシ? やっぱ薄くて端正な顔、あー、でもでも、年配だと濃いのも好き! でもね、でもね、アタシの永遠のスターは、やっぱ『ボーイ・ジョージ』、もう、とろけちゃうわぁ! カーマ、カーマ、カマ……(歌う)」

 リサ
「(チカに合わせて歌う)」

 二人、『カーマはきまぐれ』を歌った後、

 リサ
「やっぱ男は顔だね」

 チカ
「モチロン」

 リサ
「じゃあ、お金かして」

 チカ
「いやだ」

 暗転


(メゾン山田・202号室に続く)


 享楽的日常
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